6/14/2007

Rolleiflex 3.5F

「The king of twin lens reflex cameras」


Rolleiflex 3.5は僕にとって初めての二眼レフ&中判カメラである.Rolleiflex 3.5が最初に発売されたのは1949年.3.5Fは最終のモデルで,1959年に初めて発売され,途中4回のマイナーチェンジを経て1976年まで生産が続けられた.機能的にもデザイン的にもシリーズ中で最も完成されたモデルであるとされている.





現在手元には2台のRolleiflex 3.5Fがある.一台は撮影レンズにCarl Zeiss製のPlanar 75mm F3.5が,もう一方にはSchneider-Kreuznach製のXenotar 75mm F3.5がついている.シリアルナンバー(Planar付きが228####,Xenotar付きが226####)から判断すると,両者とも製造年は1960~64年の間,2回目のマイナーチェンジ以降のタイプ3である.6x6判の75mmという焦点距離は,35mm判に換算すると40mmに相当する.標準よりもやや広角なので,広角レンズを好む自分にとっては使いやすい.しかし,絞りを開けて寄れば美しいボケ味を出すことも可能である.

上部のフードを開けてファインダーを覗くと,スクリーンに映る像の美しさに驚く.まるで小さな映画を見ているように,外界がスクリーンに投影されるのである.右側面のクランクでフィルムを巻き上げ&シャッターをチャージし,前面のダイヤルで露出を決め,カメラの上からスクリーンを覗き込んで構図を決め(左右逆像なので慣れが必要である),同時に左側面のダイヤルでピントを合わせ,最後に前面右下のシャッターボタンを押し込んでシャッターを切る.この一連の動作の中で,写真を撮るという行為をじっくりと楽しむことができる.120フィルム一本でわずか12枚撮りだが,じっくり撮って一区切りつけるにはちょうどよい枚数に感じられる.肝心の写りはPlanar,Xenotarともとにかく素晴らしい.モノクロは然り,カラーでも美しい色が出る.40年以上前のレンズがこれほど美しい描写をするのかと,ただただ感動するばかりである.どう素晴らしいかは,ギャラリーの写真を見ればわかっていただける,だろうか?出来はともかくとして,そのようにしてRolleiflexで撮った写真には,不思議ととても愛着がわくのである.

アクセサリー類も丁寧に作り込まれている.ストラップ,三脚取り付け時に使用するクイックシューアダプターRolleifix,近接撮影用の補助レンズRolleinar(撮影距離に応じて1,2,3とある),そしてレンズフードは必携であろう.ファインダーフードの代わりにペンタプリズムを使うこともよくある.重いが左右逆像に惑わされず軽快に撮影できるし,上から覗き込む必要がなくなるので三脚使用時や上から見下ろすような構図にしたいときなど比較的高い位置に構えても使える.普段はレンズ保護用にB+W製のUVフィルターをつけているが,BAY2→49mmのアダプターリングを介して偏光フィルターや赤外フィルターをつけることもある.

オリジナルのファインダースクリーンは少し暗く感じられたので,Maxwell製のブライトスクリーンに交換してもらった.Planarの方はスプリットイメージ,Xenotarの方は全面マットだが,どちらも大変ピントが合わせやすくよいスクリーンだと思う.難があるとすれば,裏蓋がアルミ製で頼りないことだろうか.使い込まれた個体だと歪んでいたり凹みだらけになっていることも多い.裏蓋の歪みはフィルム面のズレや光漏れにつながるので,然るべきリペアマンに調整してもらうべきであろう.裏蓋に限らず,シャッターやフォーカス機構などがしっかり調整されて初めて本来のパフォーマンスが得られるので,定期的はオーバーホールは必要である(ちゃんとした仕事のできるリペアマンを見つけるのはなかなか難しいかもしれないが・・・).

個人的な感想ばかり書いてしまったが,Rolleiflexの歴史や各種モデル,構造,使用法などは様々なウェブサイトや本で既に述べ尽くされているので,興味のある方は参考文献やリンクを参照されたい.

Rolleiflex 3.5F
Viewing Lens: Heidosmat 2,8/75
Taking Lens: Carl Zeiss Planar 3,5/75; Schneider-Kreuznach Xenotar 3,5/75
Shutter: Synchro Compur MXV/CR00 B, 1 - 1/500

Rolleiflex関連の文献

洋書
  1. Evans, Arthur G. Collectors guide to Rollei cameras. Grantsburg, WI, US: Centennial Photo Service, 1986. ISBN 0-931838-06-1 [English]
  2. Parker, Ian. Complete collector's guide to the Rollei TLR: Listing all known Rollei TLR cameras 1928-1994. St. Helier, Jersey, Channel Islands: Hove Foto Books, 1993. ISBN 1-874031-95-9 [English]
  3. Parker, Ian. Complete Rollei TLR user's manual. St. Helier, Jersey, Channel Islands: Hove Foto Books, 1994. ISBN 1-874031-96-7 [English]
  4. Prochnow, Claus. Rollei report 1: Franke & Heidecke die ersten 25 jahre. Stuttgart, Germany: Lindemanns Verlag, 2001. [German/English]
  5. Prochnow, Claus. Rollei report 2: Rollei-Werke rollfilmkameras. Stuttgart, Germany: Lindemanns Verlag, 2001. [German]
  6. Prochnow, Claus. Rollei technical report. Stuttgart, Germany: Lindemanns Verlag, 1996. [German/English]
和書
  1. 『季刊クラシックカメラ5』 (特集 ツァイス) 双葉社 1999.
  2. 『季刊クラシックカメラ13』 (特集 ツァイス再見 ツァイスレンズの神話にせまる) 双葉社 2001.
  3. 『季刊クラシックカメラ18』 (特集 ローライ) 双葉社 2002.
  4. 『カールツァイスのすべて』 (エイムック193) 枻出版社 1999.
  5. 『ハッセルブラッド&ローライフレックス』 (エイムック614) 枻出版社 2002.
  6. 『魅力再発見・二眼レフ』 (写真工業8月号別冊) 写真工業出版社 2006.
  7. 藤田一咲 『ローライフレックスの時間』 (枻文庫110) 枻出版社 2005.
Rolleiflex関連のウェブサイト

海外
  1. rolleiclub.com
  2. Rolleigraphy
日本
  1. Ich bin ROLLEIAN!!
  2. rollei.jp
  3. ろーらい庵