11/22/2006

Microflex購入

病気の話の続き.

8月一時帰国の折,書店で興味深い本を発見した:

『魅力再発見・二眼レフ』 写真工業8月号別冊 写真工業出版社 (2006.7.14)

古今東西,様々な6x6版の二眼レフカメラを実写とともに紹介するという,最近Rolleiflexにはまっている自分にとっては何ともタイムリーな本である.冒頭には,「いま,フィルムを使う二眼レフカメラが若い人たちに静かな人気です」とある.真偽はともかくとして,僕は二眼レフのレンズが縦に二つ並んだ独特のスタイルと,6x6の正方形フォーマットが大好きである.そして,何十年も前に作られたカメラが現在でも立派に通用する素晴らしい描写を見せてくれるという事実は感動である.

ページをめくりつつ紹介されている二眼レフとその作例に目を通していたところ,一枚の写真が僕の目を引いた.殺風景な中に巨大なマンション群がぽつんとあり,それが手前の池(?)の水面に反射している.マンション群は驚くほどシャープに描写されている.

その写真を撮ったカメラの名はMicroflexといった.イギリスのM.P.P.(Micro Precision Products)社製で1958~60年頃のものらしい.「へえ,イギリスにこんなカメラがあったのか」「イギリスのカメラってのはよく写るものだろうか」などと自問しつつ,何気なくeBayで検索してみたら一件だけヒットした.程度のかなり良さそうな個体がものすごくお手頃な値段だったので・・・思わず入札したらそのまま落札してしまったのであった.

今回もまず行ったのはオーバーホール.届いた個体は明らかにスローシャッターが遅過ぎ,ミラーやスクリーンも汚れていた.今回のOHはGeorgiaのMark Hama氏に依頼した.この方は日本人で,昔は長野県のヤシカの工場で国産二眼レフのYashica MATを組み立てていたとのことである.その後アメリカに渡ってオールド・ヤシカの修理を一手に引き受けている二眼レフ修理のプロフェッショナルである.電話で話した(当然日本語です・・・ちょっと不思議な感じがしますね)ときの印象は丁寧な方で,Microflexについては,「古いカメラはゴミがたまったりグリスが固まったりするのでどうしてもスローシャッターを調整しなければならなくなるんです」「珍しいカメラですね.どこで見つけたのですか?」と興味深げに話していた.当初10日と言っていたオーバーホールに2ヵ月近くかかったので結構じらされてしまったが,戻ってきたMicroflexはよく調整され操作感も上々である.